このページに掲載されている記事は、月刊じょうほう「オアシス」誌の記事を出版後に校正し直したものです。
ワイルドウエストと自然保護の町、
ケーブクリーク(6)
2014年10月号
ケーブクリークは、東部や中西部の人々がアリゾナの自然を楽しもうと、続々と押し寄せ、観光客でにぎわい始めた。サワロの巨大なサボテンが林立し、アリゾナならではの風景に、ニューヨークなどの都会人は魅了されてしまった。 |
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刑務所帰りのカウボーイ達 |
1925年の話。ケーブクリークに住むカウボーイのエドワード・ジョイスは、自分の妻が浮気をしていることに気がついた。頭にきたジョイスは、浮気相手の男に問いつめた。その男もカウボーイで、エドワードの前でジョイスの妻との関係を認めた。よけい頭にきたジョイスは、この男を殺害してしまった。当時よくあるカウボーイ同士の殺し合いだったのかもしれない。 |
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スパークロス(Spur Cross)の出発 |
スパーとは、拍車の意味。つまり馬に乗る人が履く靴のかかとにつけるU型の金具のことを意味し、これで馬の腹をけって馬を走らせたりする。ジョイスとルイスは、この場所をスパークロス・ランチと命名し、ケーブクリークの南からこのランチに続く道もスパークロス・ロードとした。彼らの商標は、拍車のU時型とその下に十字架(クロス)を入れている。 |
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宣伝活動 |
ジョイスは、生まれながらにして、言葉巧みで宣伝活動に秀でていた。この新たなランチを東部に広く知らしめるため、東部の街町を駆け巡った。ラジオ局のインタビューにも応じた。いろんな団体に顔を出し、スピーチして歩いた。東部からゲストが来ると、フェニックスの駅まで迎えにいき、そこから車でスパークロスまで送迎した。ひとたび目的地に着くや、そこは、電気も電話もない、荒れ地のアリゾナだった。そこで、宿泊客達は、乗馬を楽しみ、カウボーイの生活を満喫した。 |
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パートナーシップの終焉 |
しばらく商売も順調に進んでいたが、ジョイスは、徐々にフェニックスでの滞在が長くなり、スパークロスの客相手は、いきおい、ルイス一人の仕事になっていった。そんな状況にあきあきしたルイスは、ジョイスに自分の株を売却してしまう。こうして、スパークロスの物件は、結局、銀行の差し押さえを招いてしまったのだ。ついに、1930年、スパークロスは、売却処分となった。 |
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その後のスパークロス |
その後、オーナーが転々と代わり、最終的にゲスト用の施設もすべてなくなって、スパークロスは、牧場として使われてきた。さて、人口急増のアリゾナは、開発業者にとって格好のビジネスの地となってきた。スパークロスの広大な敷地は、大型の住宅地やショッピングモール、リゾートホテルなど、ディベロッパーにとっては、投資物件として魅力的な敷地だった。ところが、これを知ったケーブクリーク市民や環境保護団体は、スパークロスの自然保護に立ち上がった。 |
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