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このページに掲載されている記事は、月刊じょうほう「オアシス」誌の記事を出版後に校正し直したものです。

人口統計が語る未来のアメリカの顔(2)

2016年8月号

 アジア系アメリカ人またアジア系移民の台頭が顕著となっているアメリカ合衆国。今世紀中ごろには、マジョリティーとマイノリティーが逆転する人種の坩堝の国。今月は、先月に続いて、変化をするアメリカの顔を、アジア系に焦点を絞って、見てみることにする。

 

 

 

アジア系の台頭

 100年前、アメリカのアジア系住民は、低賃金、低所得、低学歴の人たちがほとんどだった。そして、米国内で、厳しい差別待遇を受けていた人たちも、こうしたアジア系だった。
 ところが、100年後の今、その様相は一変した。現在、アジア系は、アメリカ国内の人種の中で、最も高学歴・高所得を示す人たちとなり、しかも、その人口は急増の一途たどっている。つまり、アメリカのアジア系台頭時代がやってきたと言える。
 ピュー研究所の調査によると、米国在住のアジア系の内、74%は、海外(自国)で生まれ、その半数は英語を話すことができると答えた。そして、25才から64才のアジア系の中で61%、つまり半数以上が、大学教育を受けている。これは、アメリカの移民の歴史で特筆すべき事柄だという。
 こうした背景から、非アジア系移民と比較して、アジア系移民は、米国の永住権を取得する率が極めて高く、他の移民の3倍という確率でアメリカ永住を果たしている。

高所得移民

 下のグラフが示すよう、近年のアジア系移民の年間平均所得が全米平均を上回っている。高学歴により、その職種も医者、弁護士、エンジニアなどの分野に広がっている。とりわけインド系移民にその傾向が顕著で、彼らのアメリカ社会での躍進は目覚しいものがある。

 

 

 
目を見張るインド系移民の台頭

 アメリカのインド人移民数は、1990年代に入って、急増をし始めた。その原因は、1990年の米移民法改正で、高度熟練労働者に対する枠組みが広がり、インドで生まれた労働者が米国に流入し始めたからだ。とりわけ、1995年以降のインドからの米国流民は、高等教育を受けた若手の世代で、英語に問題がない人たちが大半を占めるようになった。
 2014年に米国移民局が発行したH1ビザは、316,000件だが、その内の70%は、こうしたインド人労働者が取得者となった。また、インドは、中国に次いで、米国に多くの留学生を送ってくる大国となっている。
 米国に入国したインド人労働者の内、半数以上が米国内の雇用者を通して、永住権を獲得している。こうしたインド系移民は、他の移民と比較にならないほど、高等教育を受け、修士、博士号などを獲得し、高い就職率を示して、高額所得者層の中に入っている。

 
 
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