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このページに掲載されている記事は、月刊じょうほう「オアシス」誌の記事を出版後に校正し直したものです。

2010年国勢調査、アリゾナの実態

2011年1月号
 
 
アリゾナ州の人口は、640万

 2010年の4月に行われた国勢調査の結果が明らかになりつつある。今回の発表は全米と州別の人口データにのみ限られている。より詳細なデータは、本年2月に公表される予定だ。
 近年の経済不況、不動産業界の大きな後退、そして新移民法の可決などでアリゾナは多大なマイナスの影響を受けてきた。しかしながら、こうした状況下でもアリゾナ州の人口は、過去10年で24.6%の増加を示した。これは、35.1%増のネバダ州に次ぐ全米2位の増加率である。1990年から2000年の10年間でのアリゾナの人口増加が40%であったので、かなりスローダウンしたことは確かである。
全米の中で人口を減らしたのが、ミシガン州で、-0.6%。その他、オハイオやニューヨーク州なども約2%前後の増加で、この10年間ほとんど人口に変化がなかったことが明らかになった。
 ちなみに、全米の人口は、308,745,538で、10年前の9.7%アップとなる。これは、1940年の国勢調査以来で最低の伸び率とる。
人口増加は、アリゾナにとってプラスの効果をもたらす。
まず、州から2012年の選挙で連邦議会の下院にもう1議席送ることができるようになる。10年前に1議席増やして8議席となったが、これから9議席がアリゾナ出身ということになる訳だ。
 また、連邦政府からの経済補助金の額が増加することになる。教育、ヘルスケア、そしてその他の様々な公共サービスへ資金がまわることになる。これは財政難のアリゾナ州政府にとっては大歓迎のニュースだ。
人口増加は、州への企業誘致にも良い材料となる。優秀な労働力を求める大企業がアリゾナに工場やオフィスを構える可能性が高くなるというとだ。

 

 全米の傾向として、人口増加に大きく寄与してきたのが、ヒスパニック系の人たちである。アリゾナはもちろんその典型的な例である。ところが、ここ数年に行われた当局の強烈な不法滞在者の検挙と強制送還によって、ヒスパニック系のアリゾナ在住者が大量に州外に出て行くことになった。関係者の資料では、2008年から2009年の間に10万人のヒスパニック系住民が州外から姿を消したという。実際は、その数を正確に知る由はないが、46万人がいなくなったという報告をする機関もある。
 国勢調査は、アメリカ市民や合法滞在者だけでなく、非合法の在住者も全て含めて数えていくので、2010年4月の国勢調査の時点では、かなりのヒスパニック系住民が州外を出ていたことになる。

 

 経済が活況している時期は、アリゾナへ移住する人たちが極めて多かった。アリゾナでは、2001年から2007年の7年間に、毎年17万人の人口増加があったという。これは、あくまでも推定勘定であり、住宅建設の許可数などをベースにしているので、実際の人口よりはるかに高い推定数だったのではないかと見る人が多い。
 今後、さらに詳細の調査結果が明らかとなるが、アメリカ全体の傾向として、東部より西部へと人が流れていることがわかる。将来のアメリカの方向に大きな影響を与えていく州のひとつが、ここアリゾナである。

 
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