このページに掲載されている記事は、月刊じょうほう「オアシス」誌の記事を出版後に校正し直したものです。
壮大な実験の失敗と教訓バイオスフィア2、その1
2008年4月号
晴天の続くアリゾナ。この地を選んで人類の未来を探ろうとするベンチャー・ビジネスや科学者。バイオスフィア2もその産物だ。 今月は、このバイオスフィア2を訪れて、私たちの未来と現実を考えてみよう。 |
![]() |
行き方 |
フェニックスから
ツーソンから
|
![]() |
![]() |
宇宙移民(スペース・コロニー) |
果たして人類は地球以外の星に住むことができるのだろうか。宇宙移民は、月とか火星などに移民をして生活を営む、など多くの人々が想像してきた夢物語だった。また、ある人は巨大な人工衛星の中に住んで、地球の軌道を回って生活をすることなどを夢見ていた。まるで、スターワーズに出てくる様な話だ。 |
バイオスフェイア2 |
この宇宙移民の可能性をさぐり、さらに地球環境の研究を目的に出来上がった巨大な小地球をバイオスフィア2と呼ぶ。なぜ2なのか。1は何なのか。バイオスフィア1とは地球そのものを指す。したがって2として、地球環境を真似て作った人工環境とも言えようか。はたしてそのようなことが可能なのだろうか。 |
バイオスフィア(Biosphere)の語源 |
「バイオスフィア」という言葉は、1875年に地質学者のエドゥアード・スーズが「生命が宿る地球表面の場」という意義で使ったのが始まりだ。そして、生物圏学の創始者、ウラジミール・ヴェルナドスキーが1920年代にこの言葉を学術用語として使った。その後、1935年にアーサーロールしている存在である、という考え方だ。従って、これまで別個に研究されてきた天文学、地球物理学、気象学、地質学、地球化学などの学術研究を総合的にまとめて、地球をまた、生命を研究しようとするものになった。 |
バイオスフェイア2の成り立ち |
1984年、スペース・バイオスフィア・ベンチャーズ(通称SBV)が設立された。これは、ディジョンズ・チーム(Decisions Team)とデシジョンズ・インベストメン(Decisions Investment)が50%づつ所有権を持つジョイント・ベンチャーだ。このSBVがバイオスフィア2を建設、運営することなる。デシジョンズ・インベストメントの社長は、テキサスの石油富豪、エドワード・バスが主な出資を行い、1985年から2007年の間で2億ドルを出している。場所はアリゾナ州ツーソンの北、オラクル。ソノラ砂漠の真ん中に巨大なビルが生まれる。この地が選ばれた理由は、何と言っても日照時間だ。雨が少なく、晴天が続くこの地が最適な場所とされたのだ。これほどの規模のプロジェクトが政府主導でなく、民間主導で行われるのが、アメリカならではのギャンブルだ。しかも成功は約束されていないのだ。 |
ミニ地球の海 |
|
公式サイト |
関連記事 |