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このページに掲載されている記事は、月刊じょうほう「オアシス」誌の記事を出版後に校正し直したものです。

アリゾナの天文台(2)
キット・ピーク

2002年3月号

 多大な功績を残してきたローウェル天文台と並んで、世界的に有名な天文台。それが、キット・ピーク国立天文台だ。

 今月は、このキット・ピークを訪れてみよう。

   
キット・ピーク国立天文台

 ツーソンの南西に位置し、200エーカーの敷地に建てられた天文台。これは、アメリカ科学財団が全面的に支援する国立天文台だ。天文学研究では、アメリカ国内の中心となっており、観測時間の6割以上を国の内外の天文学者に解放している。国の研究機関なので、その規模も大きく、ドームが13ヶ所、研究員や職員も数百人を抱え、世界最大の規模を誇る天文台である。

 天文台が建てられている山は、キット・ピークと呼ばれ、1958年に天文観測の地に選ばれた。観測地の選択には、キット・ピークを含めて300を超える候補地が挙げられていたが、3年を費やして、最終候補地がキット・ピークとなった。この場所は、アメリカ先住民、トホノ・オドム族の居留区内にあるため、国が居留区と土地のリース契約を結び、賃貸で使っている。

   
キット・ピークの名前はどこから?

 トホノ・オドム族は、この地を「ロリガム」と呼んでいた。「ロリガム」とは、アメリカ南西部に繁殖するマンザニータと呼ばれるツツジ科の植物のことだ。

 この地にジョージ・ロスクルジュという白人がやってきた。1874年の話だ。彼は、ピマ郡の測量員となった。彼は、アリゾナ南部の多くの地を測量で訪れ、名前がない所に名前を付けていた。そして、現在のキット・ピークに来て、彼の妹キットの名前をこの山に付けたのだ。キットは、1900年に亡くなったが、キット・ピークの名前が正式に政府から認められたのは、それより30年も後の1930年だった。

 

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キット・ピークが再発見した小惑星アルバート

 1911年、オーストリア・ハンガリー帝国、ウィーン王立天文台のヨハン・パリサが直径2.5キロメートルの小惑星を発見した。同天文台の有力スポンサーだったロスチャイルド家のアルバート男爵に因んで、この小惑星は、アルバートと命名された。小惑星アルバートは、30年ごとに地球に接近するたびにに観測/撮影が試みられたが、極めて小さい惑星が4億キロメートルも離れた彼方にあり、観測は難攻を極めていた。

 ところが、そのチャンスがやって来て、観測に成功した場所がこのキット・ピークだった。時は、2000年5月1日、3日、6日と観測が確認された。発見者は、アリゾナ大学のラーセン教授が担当した観測チームだった。

   
しし座流星群の観測

 キット・ピーク国立天文台は、しし座流星群の観測でも有名となった。1966年、当天文台の望遠鏡に1秒で40個もの流星が観測された。

 このしし座流星群とは、テンベル・タットル彗星が放つちりが地球の大気に衝突して起こる発光現象である。しし座を中心に流れ星が放射状に飛び出すように見える。他の流星群より明るく、同時間で多くの流れ星が見えるのが特徴だ。太陽を33年周期で回るので、33年ごとにはっきりと見ることができる。

 中国の書には、西暦902年にその記録が残っている。1966年の観測以来、33年後の1999年もヨーロッパで大出現が観測された。

   
太陽望遠鏡で太陽の観測

 当天文台の太陽望遠鏡で太陽のコロナの観測がなされている。太陽のヘイウムが出す赤外線を見ると、コロナがある所が暗く示される。

 1995年には、太陽にも水があることが確認された。水といっても太陽の熱で気体化されているが、確かに水分が存在するのだ。

 
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