このページに掲載されている記事は、月刊じょうほう「オアシス」誌の記事を出版後に校正し直したものです。
秋燃ゆるウエスト・フォーク
2021年11月号
アリゾナで最も美しい紅葉が広がる地、それがウエスト・フォークである。年間を通して人気の高いハイキングコースが多くの人々を魅了しているが、とりわけ、秋になると、紅葉の山に多くのビジターがやってくる。家族連れ、写真家、ハイカーなどが次々とこの地を目指し、駐車場に入りきれないほど夥しい数の車が、まるで蛇のように長く連なって、狭いハイウエイの道端に止められている。 |
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ウエスト・フォーク
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ここは、観光名所、セドナの町の北、オーククリーク・キャニオンという山間の谷間に位置している。オーククリークは、小さな川で、フラッグスタッフからセドナの間を流れ、その川の流れが作り上げた峡谷をオーククリーク・キャニオンと呼ぶ。峡谷は、12マイル(19 km)の長さで、その幅は、0.8マイルから2.5マイル(1.3 km から 4.0 km)。セドナを通過した川は、その後、南下し、バーデ川に合流する。
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ハイキングコース
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ウエスト・フォークのハイキングは、極めて人気が高い場所なので、朝早めに到着するのがオススメ。理由は、駐車場だ。この駐車場は、ココニノ国有森林が管理しているが、午前中で一杯になる。したがって、駐車できない人たちは、当然、道に車を止める以外ない。ところが、これも難事で、人によっては、かなり離れた場所に駐車し、そこから歩いてウェスト・フォークの入り口に向かう。
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メイヒュー・ロッジ(Mayhew Lodge)
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ハイキングトコースを歩いていると、レンガ造りの小さな壁が見えてくる。一体誰がこんな所に住んでいたのだろうか。
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その背景 |
時代は、19世紀。1870年代のことだ。現在のようなオーククリーク・キャニオンを通り抜けるような道路は、まだ存在していない頃、ある白人男性がこの地に丸木小屋を建てた。この男の名は、ベア・ハワード。本名は、ジェシー・ジェファーソン・ハワード。熊狩の名人となって、ベア(クマ)と呼ばれるようになった。背丈が6フィート4インチ(193 cm)の巨体で、まるでクマのように見えるほどだった。当時、多くの入植者たちは、頻繁に出没するクマに頭を痛めていた。そこで、彼がハンターとしてこの地に足を入れたのだ。彼は、ナイフ一つでクマを殺し、その肉を食肉店、レストラン、そして鉄道工事の労働者が寝泊まっているテントに売り歩いた。そんな彼が住んでいた家は、自分で作った丸木小屋一つだった。この丸木小屋が将来多くの人を惹きつける場所になるとは、誰も想像していなかったに違いない。
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ハワードの丸木小屋
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ハワードが作った丸木小屋は、後にトーマス家が買い取った。この一家は、その丸木小屋を大きな住居に建て替え、その周りに果樹園を作りリンゴを栽培した。すると、周りの風景と調和した魅力的な建物になったようだ。 |
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その後のロッジ
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こうして生まれたロッジには、次々と全米各地からの訪問客を受け入れていった。しかし、時間の経緯とともに老朽化を余儀なくされ、1968年、メイヒュー家は、そのロッジを引き払い、建物は、ココニノ国有森林の一部となった。ところが、不運が襲ってきた。1980年に、この一帯が山火事に襲われたのだ。そして、建物のほとんどは火の粉と消えてしまい、今は、その一部の壁などが残っているだけとなった。現在、ハイキングコースに沿って、かつての驚異の歴史を秘めて、ハイカーたちを迎えている。
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公式サイト | |||||