このページに掲載されている記事は、月刊じょうほう「オアシス」誌の記事を出版後に校正し直したものです。
アリゾナ祭り、新会場へ
2019年12月号
今では、州最大規模のイベントとなっているアリゾナ祭り。その出発は、1984年だった。それ以後今日まで34年の間、この年間行事は、大きく成長し、全てが著しい変遷を遂げた。しかし、一つだけ変わらなかったものがあった。それは、このイベントの会場である。 |
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ASUが作ったきっかけ |
時は、1984年。テンピのアリゾナ州立大学(ASU)の芸術学部が一つの企画を作り上げた。大学は、6ヶ月をかけて日本文化の紹介を様々なイベントを通して行うというプログラムを作った。その企画は、「ビハインド・ザ・マスク、日本の文化探求」という名で、アリゾナ人文会議およびアリゾナ芸術委員会が補助金を提供して開催された。 ビハインド・マスクのイベント・パンフレット(資料提供:ケリー・モア氏) |
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第1回アリゾナ祭り
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当時、地元の日系人などがすでに数年前から茶道や日本舞踊をフェニックスで行っており、アリゾナ祭りには喜んで参加をした。そのほか、当時、フェニックス日米協会という組織があり、その中心者であったケリー・モア氏がこのイベントの企画運営に携わった。 |
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初期のアリゾナ祭り |
第1回のアリゾナ祭りが終わると、これを毎年続けようという声が上がってきた。そこで、毎年2月に継続するようになった。アリゾナ州立大学は、第1回のイベントで主催役だったが、翌年からは、フェニックス市が全面協力することになった。 |
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1986年2月18日付フェニックス・ガゼット紙(資料提供…ケリー・モア氏) |
1989年2月26日付アリゾナ・リパブリック紙(資料提供…ケリー・モア氏) |
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その後のアリゾナ祭り |
アリゾナ祭りは、その後、年々、発展を続け、集客数も参加ベンダー数も増加の一途をたどることになる。当然、場所も拡大して行き、ヘリテージ・スクエアに所狭しとベンダーのブースが並び、訪問客でごった返したような状況となった。とりわけ、近年の日本アニメの人気で、多くの若者がコスプレの衣装で着飾り、次々とやってくるようになる。 |
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日本政府も注目したアリゾナ祭り実行委員会表彰式での故テッド・ナンバ氏、ドリス・アサノさん、ケリー・モア氏 |
この大成功のアリゾナ祭りは、日本政府も注目した。2011年8月には、日本国から外務省大臣賞がアリゾナ祭り実行委員会に贈られた。これには、ロサンゼルスの日本領事館から伊原総領事(当時)が出席し、表彰状を実行委員会の代表に授与した。授与式は、アリゾナ祭りの会場であるヘリテージ・スクエアの園内にあるフェニックス歴史博物館内で行われた。 |
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パンク状態の会場 |
さて、毎年、7万から8万人の人々がダウンタウンのヘリテージ・スクエアに集まることになってきた。 |
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新会場を決定スティール・インディアン・スクール公園、元校舎 |
本年、秋、アリゾナ祭り実行委員会は、明年のイベント会場をこれまでのヘリテージ・スクエアから新しい場所に変更する旨を発表した。その新会場は、「スティール・インディアン・スクール公園」である。 |
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スティール・インディアン・スクール公園とは |
この公園は、フェニックス市営の公園で、1996年にフェニックス市が土地交換で獲得した「インディアン・スクール」の敷地を公園化したものだ。 さて、このインディアン・スクールには、一つの深い歴史意義が存在している |
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インディアン・スクール(Indian School) |
「インディアン」はアメリカ先住民のことで、「スクール」はもちろん、学校である。つまり、ここには、アメリカ先住民の学校があったのだ。時は、19世紀後半。アメリカ連邦政府は、アメリカ先住民を「文明化」、または、「白人化」する政策を掲げた。そして、全米各地に「インディアン・スクール」という寄宿学校を建設した。ここで、先住民の居留区から子供達を強制的に寄宿生活をさせて、「再教育」と「文明化」をしようと試みた。 |
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インディアン・スクールが市営公園に |
廃校となった学校の敷地は、もちろん連邦政府が所有していた。連邦政府は、この土地を民間企業の物件と交換することにし、1988年に、バーロン・コリア社が持つフロリダの土地を連邦政府が自然保護を目的に保有し、インディアン・スクールの敷地を手放した。 |
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2020年アリゾナ祭り |
こうして、明年2月のアリゾナ祭りは、このスティール・インディアン・スクール公園で行われる。これまでのヘリテージ・スクエアより格段に広い敷地で、交通の便もライトレイルの駅前ということもあり、電車で来ることが容易となっている。 |
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実行委員会、スポンサーを求む |
明年2月22日、23日に行われるアリゾナ祭りでは、今、スポンサーを求めている。 |