このページに掲載されている記事は、月刊じょうほう「オアシス」誌の記事を出版後に校正し直したものです。
ツーソンで生まれた日本語補習校
2017年9月号
26年前に出発した日本人補習校、アリゾナ学園は、すっかり地元に定着し、日本からの駐在員家族の子供たちや地元の日本人、ハーフの子供たちが毎週土曜日に日本語で国語や算数を学んでいる。 今月は、この学校を訪れ、創立に関わった二人の女性、ひとみ・マックナイトさんとみなみ・エスピノサさんにお話を伺った。
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学校の発案者 |
ツーソンに住む日本人の子供に日本語を教える。もっともシンプルな発想だが、その実現には、予想以上の大きなハードルが横たわっていた。ツーソン出身のアメリカ人と結婚したひとみさんは、4年半前にご主人のホームタウンであるツーソンに引っ越してきた。二人の小さなお子さんと一緒に一家で新しい生活が始まった。 |
![]() 発案者、創立者、運営者のみなみさん(左)とひとみさん(右) |
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学校設立に向かって
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まず、ツーソンに住む日本人の間で、どれだけのニーズがあるか調べてみることにした。そこで、アンケート用紙を配り、教会のプレイグループなどに子供を連れてくる親を対象に、補習校への興味の有無を尋ねた。その結果、子供を補習校に入れたいと希望する数が60名弱もあることが確認できた。しかし、現実に学校を開いて何人の子供が入学してくるかを考え、一応、30という可能性を出してみた。 |
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インターナショナル・スクール・オブ・ツーソン |
ゼロからの出発 |
ひとみさんとみなみさんは、学校設立の経験もなければ、そうした知識も皆無の、普通の主婦だった。その全く素人の二人が始めた大きなプロジェクトは、企業や団体の支援が全然ない状況で、文字通りゼロからの出発をすることになる。 |
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いよいよスタート |
準備を始めて約1年後、2015年の8月にツーソン日本語補習校がスタートした。23名の生徒と4名の教師での出発だった。今年は、28名の生徒が来ている。 運動会、新年書き初め、学芸会なども開催し、活動の充実を目指している。現在は、LLCの組織形態なので、将来は免税という利点がある非営利団体を目指す。 運営資金の調達も大きな課題だ。地元のレストランや諸団体などに声をかけ、協賛金の募金運動も始めた。また、地元のイベントに出て、募金を募ったり、ボランティアの人たちが手作りで提供した箸などを日本食レストランなどで売ったりしている。 ひとみさんとみなみさんは、正直言って、いつまでやっていけるのか、まだ学校の将来が見えてきていない。一年一年が綱渡りのような学校運営だ。しかし、二人の主婦がゼロから始めた日本語補習校は、必死の思いが通じて、形となって実現した。ここからどんな人材が将来出てくるか。これこそが教育機関運営の醍醐味かも知れない。アリゾナのツーソンで生まれた小さな学校で、その大きな意義が明確になるのは、子供達が育っていった何年も先のことになろう。 |
ボランティアの手作り。見事な箸。学校の運営資金の一助となる。
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問い合わせ: メールにて 協賛は一口20ドル。 郵送先: Tucson Japanese Language School LLC 1803 East Seneca Street, Tucson, AZ 85719-3748 |
ボランティアで図書担当を担う中島宏さん
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