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このページに掲載されている記事は、月刊じょうほう「オアシス」誌の記事を出版後に校正し直したものです。

世界中の楽器が一同に、フェニックスに楽器博物館誕生

2011年3月号

 音楽は人種や国家、その他様々な違いを越えて、人の心を動かす。この音楽を奏でる楽器を世界中から集めて一般市民に開放しよう。こんな思いから完成した楽器博物館がフェニックスに誕生した。世界の全ての国からその地で演奏されている楽器を集めるのは至難の業だが、北朝鮮、イエメン、リビアなどを除いて200カ国以上の国々から1万個を越える種類の楽器が収集された。
 館内のそれぞれのブースには、その国、あるいはジャンル別の楽器とともにテレビのスクリーンが設置されていて、演奏の様子が放映されている。博物館の訪問者には一人一人ヘッドフォンと小さなレシーバーが与えられ、テレビの画像に近づくとその演奏の音声がヘッドフォンから聞こえてくる仕組みになっている。まさに最新のハイテクを駆使したエンターテインメントが楽しめるのだ。
 ここでは、各国のユニークな楽器からジョン・レノンが使ったピアノまで広範囲な楽器が展示されている。実際に自分の手にとって音を出すことができるセクションもあり、家族連れで気軽に訪問できる。
今月はこの博物館を歩いてみよう。

   
創立者は、元ターゲット・コーポレーションの社長

 

 この博物館は、ボブ・ウルリッヒ(Bob Ulrich)が創立者であり、現在も理事長として舵を取っている。彼は、1944年にミネソタで生れ、ミネソタ大学卒業後、すぐにデイトン・ハドソン社に入社し、ビジネスの世界に飛び込んだ。1984年にデイトン・ハドソン傘下のターゲット・ストアーズ・グループの社長となり、会社を急成長させる。2000年には、ターゲット・コーポレーションとして、独自のブランド製品を扱い始め、前から傘下に入っていたマーヴィンズやマーシャル・フィールズを売却し、ターゲットに専念する。
 全米の各都市に広範囲に市場を広げたターゲットの成果は、世界の注目を浴び、2007年には、チーフ・エクゼクティブ・マガジンでは「2007年のCEO」とウルリッヒを紹介した。
 彼は、もともとアフリカの文化に興味を持っており、多くの楽器など芸術品を収集していた。その彼がヨーロッパを旅行してベルリンの楽器博物館を訪れた頃、自分も世界の楽器を集めて一大楽器博物館を作ろうと思ったという。65才のターゲットを退職した彼は、その夢の実現に猛然と取り組んだ。
総工費2億5000万円。私立博物館の利点は、彼が全てを決定できる点だった。 設計事務所、工事コントラクターなどの選択を短期間でやってのけた。そして、ついにフェニックスに楽器博物館を誕生させた。オープンは、昨年の4月。まだ、出発して10カ月だが、訪問者は、16万人以上を数えている。
彼は、この博物館が目指すものをこう表現している。「この博物館の目的は、文化の特異性と、また文化が持つ類似性、普遍性を明らかにしていくことにあります。」

   
 

一階にあるシアター

ジョン・レノンのピアノ
 
 

一人一人にあてがわれる
ヘッドフォンとレシーバー

 
館内を歩く

 博物館は2階建てになっており、一階は、ロビー、シアター、レストラン、ギフトショップの他、アーチスト・ギャラリーが設置されている。このアーチスト・ギャラリーに、ジョン・レノンがあの有名な「イマジン」の作曲に使ったスタインウェイのピアノ、ジョージ・ベンソンのギター、ポール・サイモンのギターなどを身近に見ることができるようになっている。
 二階には、アフリカと中近東、アジアとオセアニア、ラテン・アメリカ、米国/カナダとそれぞれの地域別に大きな仕切りに分けられ、各国のブースが設置されている。日本のブースはもちろん、アジアとオセアニアの中にある。
とにかく規模が大きく楽器の数も膨大なので、1日で完全に見ることができない人もいるようだ。何回も通ってくる訪問客もいるとのこと。一見の価値あり。

 
   

Musical Instrument Museum (MIM)
住所:4725 E. Mayo Blvd., Phoenix
Tel: 480-478-6000, www.theMIM.org
開園時間:月、火、水:9am - 5pm、木、金:9am - 9pm、土:9am - 5pm、日:10am - 5pm
入場料:大人$15、6〜10才:$10、6才以下:無料、65才以上:$13

 

公式サイト