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このページに掲載されている記事は、月刊じょうほう「オアシス」誌の記事を出版後に校正し直したものです。

スタートを切ったライトレイル

2009年2月号

フェニックスに登場したライトレイル。市民からの反響も良く、暗いご時世にあって、数少ない明るいニュースの一つとなっている。今月は、このライトレイルに乗りながら、未来のフェニックスを見てみよう。

 
歴史的なスタート

先月12月27日は、フェニックスにとって歴史的な日となった。それは、あの待望のライトレイルの運転が開始されたからだ。市では、開幕を華々しく行い、年末の31日まで市民に無料乗車を提供した。開幕の日は、この電車を待ち望んだ市民が家族連れで集まり、長い列を辛抱強く待って、乗車を楽しんだ。

   
METRO(メトロ)

この市電はメトロと命名されている。メトロは、2000年に行われたフェニックスの住民投票で多数票を獲得し、住民は、売上税を0.4%上げ、その増税をメトロに充てることに賛同した。まもなく工事が始まり、8年後に開幕に至った。この電車は、全長20マイル (32 km)で、駅が28カ所設けられた。ダウンタウンなどへの通勤を容易にすべく、パーク・アンド・ライド(Park and Ride)という大型駐車場が8カ所、駅に隣接して設置されている。駐車は無料なので、自宅からそのパーク・アンド・ライドに車を運転していって、そこで駐車して電車に乗ることができるようになっている。また、電車内には自転車を入れる場所が設けれているので、自転車で駅まで行き、電車に自転車を持ち込んで、下車してから再び自転車に乗るということが可能だ。また、車いすの乗客にも便宜が図られており、折りたたみが出来る座席のスペースには、車いすが充分に入るようになっている。その上、電車の床と駅のプラットフォームの床の段差がなく、その間のギャップも極めて小さいので、車いすでも上下車が楽にできる。

   
切符の買い方

各駅には、切符の自動販売機が設置されている。料金は、一回の乗車について$1.25。乗車の距離には関係なく同じ金額だ。一日中何回でも上下車できるパス(1 Day Pass)は$2.50。3日パスが$7.50、7日パスが$17.50、31日パスが$$45となっている。65才以上のシニアと6才から18才までの子供は割引がきき、5才以下は無料だ。まず、自分の希望の切符を選んで自動販売機のボタンを押した後、料金を入れると、切符が下から出て来る仕組みだ。
日本で電車に慣れた私達には、以外に思えるが、切符の有無を確認する駅員や機械がない。従って、中にはタダ乗りを目論む人も出てくる可能性は高い。メトロ側では、時々、調査員が抜き打ちで乗客の切符を確認することがあるという。この時に切符を持っていないと、高い罰金が科せられる。

   
METOROの将来

さて、今回の電車開通は、まだ第一段階に過ぎない。将来、更に線路を拡張していく予定が作られている。まず、フェニックスの北西部拡張計画。これは、クリスタウン・モールからメトロセンター・モールの二つのショッピング・モールをつなげる4マイルの拡張工事だ。工事は本年の春に始まり、2012年に完成予定だ。
次に、2004年に行われた住民投票で承認された拡張計画がある。下記の通りに5カ所の拡張が予定されている。
 ★現在の始発駅モンテベロからグレンデールの西へ(2017年完成予定)
 ★ダウンタウンのセントラルから西に伸び、州会議事堂に着き、北上してフリーウェイI-10号線に沿ってアボンデール、トールソンまで(2019年完成予定)
 ★フリーウェイSR51号線に沿って北上し、パラダイスバリー・モールまで(2025年完成予定)
 ★アリゾナ州立大学(ASU)のテンピ・キャンパスから南下しテンピの南部へ(2015年完成予定)
 ★メサを東に(2015年完成予定)
さらにフェニックスの周辺都市への拡張計画がいくつか提案されており、今後の成り行きに注目したい。

   
期待される経済メリット

アリゾナでは、この電車の運行によって、経済への刺激が加わることを期待している。特に、駅に近接した場所では、当然、人が集まるので、レストランや小売業などに大きなメリットが生まれる可能性が大きい。また、それを目論んだ不動産投資などが将来的に望まれている。とりわけ、経済が悪化している昨今は、メトロが持ち込む新しいビジネス機会に熱い視線が注がれている。