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このページに掲載されている記事は、月刊じょうほう「オアシス」誌の記事を出版後に校正し直したものです。

アリゾナ州の経済動向

2009年1月号

 新年を迎えたアリゾナ。経済的に厳しい新年が始まった。これまで急成長をとげてきた州だけに、大きな試練をどのように乗り越えていけるだろうか。明年2010年は国勢調査の年。前回の2000年国勢調査と比較し、10年間の変化が明確になる。

 そこで、今月は、その調査の一年前に、これまでのアリゾナの産業別指数を掲載してみた。

   
アリゾナ州の経済発展

 アリゾナ州の経済は、人口の増加とともに著しい発展を遂げて来た。かつて農牧業と鉱山から発掘される銅の生産が州を支えていたが、その時代は完全の過去形となった。そして、ハイテク産業を主導とする製造業、各種サービス業、
そして金融、不動産業が急速に台頭してきてた。
 もちろん、昨年から深刻化し始めた経済危機による影響は、現時点では数字が出て来ないが、多大なダメージが発生することは明白だ。

 
人口

 アリゾナ最大の日刊紙「アリゾナ・リパブリック」紙の報道によれば、過去1年のアリゾナの人口増加率は、1 . 2%( 約8,000人)と、意外な数値が出ている。10年ごとに全米で行われる国勢調査でかなり正確な人口の詳細が判明する。しかし、その国勢調査が行われない9年間は、人口の数がある程度推定ではじき出される。
 たとえば、アリゾナの場合は、州政府が毎年の新規住宅建設許可数をもとにして、住民数を推定してきた。ところが、今になって判明したことは、アリゾナが住宅ブームにあった時期に計算された人口推定なので、かなり膨張した数値であったということだ。ある程度低めに見て、現在の州の人口は、約650万人だろうと言われる。

 現在、各自治体が集まってできたセントラル・アリゾナ自治体協会が、州の人口を新しい方法を採用して、より正確な数で出そうとしている。しかし、実際には、2010年の国勢調査の結果を待つ以外にない。

 
アリゾナの潜在能力

 オバマ新政権が掲げる経済活性化の一つとして、エネルギー源の転換が注目されている。石油に頼らない国作りを訴えてきた元副大統領のアル・ゴア氏の路線とも平行し、新たなエネルギー源を作り上げ、投資と生産に活力を与えることで、今回の経済危機のみならず地球規模の環境破壊の危機を乗り越えようとするものだ。
 とりわけ、年間日照時間が全米でもトップクラスを誇るアリゾナ州は、ふんだんに降りそそぐ太陽を使ったエネルギーを生み出す恰好の場所でもある。また、北アリゾナの高原は強い風が吹く日が多く、風力発電の潜在能力もある。

再生可能エネルギー

 最近、頻繁にマスコミで使われている「Renewal Energy(リニューワル・エナジー)」という言葉がある。これは、日本語では、「再生可能エネルギー」と訳されるが、その意味は、自然界に存在するエネルギーを利用し、同時に再生するエネルギー源のことを指す。これまでの有限な資源に頼り、枯渇の危険性と環境破壊を拡大してきたことへの反省から、近年、新たな資源の開発が活発化しきている。再生可能エネルギーは、太陽光、太陽熱、風力、水力、波力、バイオマスなどが該当する。

   
APS

 実際、アリゾナ最大の電力会社、アリゾナ・パブリック・サービス(APS)社は、大型ソーラー・パワー発電所の建設を昨年発表した。つい最近、この建設は州政府から許可がおり、いよいよ現実化に向かう。しかし、その工事建設の費用等をまかなうために、現在の料金の値上げを州政府に申請し、政府から許可が下りたばかりだ。つまり、再生可能エネルギーへの転換はタダではないということだ。
ちなみに、この新しいソーラー・パワー発電所から発電される電力は、280メガワット。これは世界最大の規模となる。この発電所の完成は2011年の予定だ。
アリゾナ州では、2025年までに全州の電力源の15%を再生可能エネルギーでまかなえるようになることを目標としている。現在の段階では、APSは、全電力の2%、ソルト・リバー・プロジェクト(SRP)は、5%が再生可能エネルギー源である。SRPの場合は、その内半分が水力発電である。
 ともあれ、こうした新たな動向がより活発になれば、雇用機会も増え、経済への刺激は間違いなく増大する。その意味で、アリゾナには更なる成長が可能となる。
いよいよ出発した2009年。若いアメリカが持つバイタリティーで、苦境をを未来の成長のバネとできる本年でありたい。