アリゾナには、観光名所とはなっていないので、余り知られていない自然の隠れ場がある。ハサヤンパ・リバー自然保護地域もその一つだ。ここに足を踏み入れるや否や、どこか他州の森の世界に入り込んだような錯覚におそわれる。鳥や動物にとっては、人間の脅威から逃れるまさに隠れ場なのかもしれない。
今月はこの自然保護区、ハサヤンパ・リバーをゆっくりと散策してみることにしよう。 |
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ここは、ネイチャー・コンサーバンシー(The Nature Conservancy)が買い取った自然保護地域である。
この地はもともとフレデリック・ブリル・ランチと呼ばれる大牧場だった。現在ビジター・センターとして使われているアドビ調の建物は、1860年代に建てられたものだ。当時、ロシアから移民してきたブリルが土地を所有し、ここで牛馬を育て、その上駅馬車の駅の役目も果たしていた。また、広大な果樹園を経営し、リンゴや柑橘類を各地に発送した。
1913年、ブリルはこの土地を他人に譲ることにする。そして、その後、ここは、レイジーRCランチと呼ばれるようになった。
ネイチャー・コンサーバンシーがこの土地を買ったのは、1986年のことだ。そして、隣接する土地が寄付されたりして、2004年までには、敷地が当初の倍の大きさにまで発展した。 |
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ハサヤンパ・リバー(Hassayampa River)

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ハサヤンパ川は、プレスコットの南東にあるマウント・ユニオンを源として、アリゾナの南に向かって流れ、ウィッケンバーグを通り抜けて、ヒラ・リバーに合流する川だ。約100マイルの長さ。
昔の鉱山の記録によると、アサンプ(Assamp)と呼ばれていたようだ。後に、ハサンプ(Hassamp)とかハシアンプ(Hasiamp)と綴られてきた。1840年代にプレスコットに金鉱を求めてやってきたポーリー・ウィーバーが、この川の綴りをハサヤンパ(Hassayampa)としたと言われている。その名は、「美しい川」という意味であるとされた。
ところが、1879年にアリゾナに来た陸軍大佐のジェームス H. マックリントッが「私が雇ったユマ・インディアンによると、ハサヤンパとは、隠れた川、または、乾いた川底の水という意味がある」と書いている。現在、一般には、「上下が逆さになって流れる川」という意味が使われている。この川はその意の通り、ほとんど地下を流れているが、自然保護区内では、地上に清らかな水を見せて走っている。 |
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ネイチャー・コンサーンバシー

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1951年に創立されたこの組織は、全世界30カ国で活動をしており、アメリカ国内では、全50州に連絡事務所を設置しており、年々その行動半径を広げている。本部は、バージニア州のアーリントン市にあり、自然保護と生命の保存をスローガンに掲げている。日本語に訳すと、「自然管理委員会」となる。世界最大の民間環境保護団体である。
ネイチャー・コンサーバンシーは、科学的データに基づいて、植物、動物、また生態系の保護の必要性を判断し、一定の生息地を買収して、保護活動を行う。これまで、1,200エーカーを越える1,500以上の「自然環境保護地域」を形成し、世界各地に6,000エーカー以上の土地も保護してきた。他の自然保護団体の多くが、政府や企業と対立する姿勢を取って来たのに反し、ネーチャー・コンサーバンシーは、土地所有者、企業、政府とパートナーシップを取り、地域との軋轢を避ける行動を取り続けてきている。
こうした活動に対する批判も様々な団体などから受けているのも事実だ。たとえば、ネーチャー・コンサーバンシーが大企業との関係が緊密過ぎると、ネイチャー・コンサーバンシー自体の存在自体に疑問を投げかける自然保護活動家もいる。また、獲得した土地を売却することで、利潤を生み出しているとの批判もある。
ともあれ、アリゾナのハサヤンパ・リバーは、ネイチャー・コンサーバンシーによって保護地域として多くの訪問者を魅了していることは事実だ。 |
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保護されている動植物 |
ここは、コットンウッドと呼ばれる北米産のポプラの木やヤナギの木の森である。この森には、鷹、トビ、カッコウなど280種もの鳥が生息している。動物もシカを始め、アライグマ、ボブキャット、マウンテンライオンなどは住んでいる。 |
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公式サイト |
アリゾナにあるその他の保護地域 |
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