綺麗な砂漠
日本にいた頃は、砂漠と言えばサハラ砂漠を想像してました。ラクダに乗って、沙だらけの地面をどこまでも進み続けるような。それから、西部劇の映画に出てくるような低木ばかりで埃っぽい荒地も想像してました。そんな所に町を作るなんて、余り賢くないなあ、などと思ったりしてました。
その僕がここアリゾナに来て、住めば住むほど、キレイな砂漠だなあ、と感動するようになったんです。もちろん、雨は余り降らないので、乾燥しきっていますが、この砂漠には色があるんです。それは、土色じゃあなく、鮮やかな赤だったり、黄色だったり、オレンジ色だったり、とにかく、カラフルなんです。

あとで知ったんですが、アリゾナの砂漠は、ソノラ砂漠と言って、メキシコの北部一帯から広がっている特異な砂漠地帯です。隣のニューメキシコ州に行ってもカリフォルニア州に行っても、こんな砂漠にはお目にかかりません。
鮮やかな色は、サボテンやら砂漠特有の植物が、ある特定の時期に思い切って咲き誇る花のファッションショーなんです。特に3月から5月にかけて、街中やちょっと離れた砂漠地帯に行くと、野花や木々の花が一面に咲いていて、我が目を疑うほど、別天地にいるような感覚を持つんです。
3月になると、カメラを持って近くの山に行きます。そこは野花のパラダイスです。山の裾野一面に黄色やピンクなどの色が混じり合って、野花がひしめき合って咲いているのです。まさに春を待っていたんです。
パロバーデという砂漠に育つ木があります。パロはスペイン語で枝。バーデはスペイン語で緑の意味です。かつて初めてこの地にやって来たスペイン人たちが付けた名前でしょう。この木は、アリゾナ州の州木に指定されています。この木が5月になると、素晴らしい黄色の花を咲かせます。街を歩くと(というより車で走ると)、これが黄色でなく、薄いピンクだったら日本の桜が満開しているような光景だなあと思ったりします。

それから、サワロという大型サボテンがいたる所に突っ立っています。サワロは、5月になると、木のてっぺんにクリームのような白い花を咲かせます。とても背が高いサボテンなので、その花を上からまたは横から写真に収めようとすると、はしごが必要です。この花を目指して、ミツバチが集まり、実がなると、鳥が食べにくるんです。なにせ、見上げるように高い所にある花なので、鳥も安心しているのかもしれません。

そのほか、いろんなサボテンが5月には、真っ赤な花や、真っ黄色な花を見せてくれるんです。
砂漠なんて何もない、などと言ったら大自然に失礼に当たります。
